「それでも夜は明ける」は誘拐され、奴隷にされたソロモン・ノーサップの半生をつづった感動ドラマです。
この映画で一番の名シーンは、ブラッド・ピット演じる サミュエル・バスとキウェテル・イジョフォー演じるソロモン・ノーサップのクライマックスシーンです。ここではそのシーンの英語の会話を取り上げて見ました。
それでも夜は明けるの名場面
12年間奴隷として生活をしてきて初めて信頼できる白人に出会ったソロモンはマニュエル・バスにある思いを打ち明けます。
ソロモン:Do you believe, sir….in justice as you said?
あなたが(以前に)言ったように「正義」を信じてるんですか。
サミュエル・バス:Yes, I do.
うん、信じてる。
ソロモン:That Slavery is an evil that should befall none?
奴隷制は悪であり、決して起こってはいけないと?
サミュエル・バス:I believe so.
うん、そう信じてる。
ソロモン:If you truly do, then I would ask… I would beg… that you write my friends in the north.
もし本当に信じてるなら、頼みたいんですが。いや、どうかお願いしたいんですが、北部にいる私の友達に手紙を書いて欲しいんです。
*ask とbegの両方を使っているのがポイントです。askが頼む、という意味なのに対して、begは懇願する、といったさらに強い意味になります。
ソロモン:Acquainting them with my situation… and beseeching them forward free papers.
彼らに私の状況を知ってもらって、「フリーペーパー(自由保証書)」を送ってもらうように頼みたいんです。
to foward は手紙やEメールなどでよく使われる単語ですが、「転送する」、「発送」するといった意味があります。
to acquaint は「知らせる」、「教え込む」などの意味があります。これを「acquaintance」と名詞にすることで「知り合い」という意味になります。よく使われる単語なので覚えておきましょう。
ソロモン:It would be an unspeakable happiness, to see my wife and my family again.
もし妻や家族にもう一度会えたら、幸せすぎて何もいうことがありません。
unspeakableは「言葉にならないほど」という意味です。
サミュエル・バス:I´ve been traveling this country for the best part of twenty years. My freedom is everything. That fact that I can walk out of here tomorrow gives me great pleasure.
この国を20年間の大半旅してきたけど、自分にとって自由は全てだよ。明日ここから出ていける、という事実が大きな喜びを与えてくれるんだ。
サミュエル・バス:My life doesn´t mean much to anyone. But it seems your life means a lot to a lot of people.
僕の人生は誰にとってもそんなに大事じゃないけど、君の人生は多くの人にとって深い意味があるようだね。
*to mean much to someoneは[「誰かにとって重要な意味がある(大切である)」という英語で頻繁に出てくる表現です。
サミュエル・バス:but what you are asking me, sir… scares me. I must say, I am afraid. Not just for you but for me. ただ、君が頼んでいることは恐ろしいことだよ。怖いって言ったほうがいいだろう。君にとってだけじゃなくて、僕にとってもね。
to scare someone で「誰かを怖がらせる」という意味になります。
黒人の手紙を書いて送ってあげることが命の危険につながる行為だった当時の社会。それでもリスクを背負ってなんとかしてあげたいというサミュエル・バスの葛藤、そして一寸の希望にかけるソロモンの行動力を表す名シーンでした。