「とらわれて夏」はバツイチで深い寂しさを抱えるアデルと息子ヘンリーが脱獄囚のフランクとひょんなことから一緒に過ごすことになった5日間をつづった物語です。最初は警戒しつつも、徐々に脱獄囚に心惹かれていくアデル、そしてその光景に複雑な思いを寄せるヘンリーが物語の軸を担っています。
「とらわれて夏」の名場面
ある日、すっかりフランクに恋してしまったアデルは息子にカナダ行きの計画を告げます。息子は母親が自分を置いて行ってしまうとばかり信じていたため、涙をこらえるのに必死です。そのシーンがこちら。
アデル:Henry, wait! Um… There’s something we wanted to talk to you about. After your father left, I thought I would be alone forever. I didn’t think I would care about anyone else besides you.
ヘンリー、待って。あのぅ、あなたに話したいことがあるんだけど。あなたのお父さんさんが出て行ってから、私は一生独りだと思ってたの。あなた以外の人を大事に思うなんて思ってもみなかった。
I thought I would be~で「私は~になると思っていた」という表現になります。besides someoneで「誰々以外は」となります。
ヘンリー:I’m really happy for you.
(お母さんが幸せになって)僕、嬉しいよ。
to be happy for someoneで「誰々のことで幸せだ(うれしい)」という意味になります。
アデル:We’re thinking Canada might be a good place to start over.
やり直すにはカナダなんていいかな、って私たちは思ってるんだけど。
to star overは「やり直す」という意味です。
ヘンリー:Canada?
カナダ?
アデル:They speak English.
(カナダ人は)英語も話すし。
この場合、カナダ人全般を「they 彼ら」と表現しています。主語が不特定多数の場合、このように「they」が使われます。
フランク:And you don’t need passports to get across the border. Thanks for the research, bud.
国境を渡るにもパスポートが必要ないし。君のリサーチのおかげだよ。
budはbuddyの略で「相棒」、「仲間」といった意味で使われます。
アデル:We’ve decided to go together.
私たち、一緒に行くことに決めたの。
to decide to 動詞で「~するのを決める」という表現です。
ヘンリー:Will I ever see you again?
僕はいつかまたお母さんと会えるの。
Will I ever~で「一度でも私は~するのですか」、「私が~するときは来るのですか」といった質問文になります。
アデル:What are you talking about?
何言ってるのよ。
ヘンリー:Do you even care about what happens to me?
僕がどうなるとか気にしたことあるの。
アデル:What? You didn’t think… We’re all going.
なんですって。あなたもしかして、、、、私たちみんなで行くのよ。
ヘンリー:Really?
本当?
アデル:I would never leave you. You would have to leave school. And you couldn’t tell anyone, okay? We would just pack the car and go.
あなたを置いてくわけないじゃない。学校は出ないとならないけど。あと誰にも言ったらだめよ、分かった? 荷物を車にまとめて、出ていくの。
I would never+動詞で「決して~しない」という非現実的な話をするときに用いる言い回しです。
ヘンリー:What about the roadblocks?
でも検問は?
フランク:They’re looking for a man traveling alone.
彼らは単独で動いている男を探しているから大丈夫。
カナダ人の場合と同様ここでも不特定多数の警察を「they 彼ら」としています。travelはこの場合、「旅行する」という意味ではなく、「移動する」という意味で使っています。
アデル:They won’t be expecting a family.
家族なんて探してないから。
to expectには「予期する」、「待つ」などの意味があります。
ヘンリー:A family.
家族かぁ。
3人が初めて一つの家族として意識し始めた瞬間を描いた名シーンでした。「恋愛映画の英語の名セリフ&名言」でも紹介しましたが、終盤フランクは警察に捕まると分かると、アデルに向かって最後にこんなロマンチックなセリフを言いました。
I’d take twenty more years just to have another three days with you.
フランク・チェンバースがアデル・ウィーラーに言ったセリフ
君とあと3日過ごすためだけにもう20年待ってもいい。
I’d take twenty more yearsは「もう20年費やす」、あるいは「費やしても構わない」といった意味で使われています。
刑務所に入っていた、またこれから入ることになるフランクにとって20年というのは塀の中での刑期を意味します。「君ともう3日過ごせるのなら刑務所に20年入ってもいい」、そんなことを言わせるほど二人の出会いは運命的な出会いだったのです。