「ムーラン」は、父親の代わりに男性に変装して兵士に志願した女性ムーランの中国を舞台にした物語です。セリフは中国の文化を匂わせつつ、ディズニーらしいユーモアと優しさ溢れる内容で、名セリフや教訓も少なくありません。
ムーランの名場面
国を守るため従軍したムーランはある日、ファ家の先祖の霊を起こす役割を背負う小さなドラゴン、ムーシューと出会います。
体は小さいけど声や態度は大きいムーシューに最初は戸惑うムーランですが、これから軍隊の中でどうしていいか迷っている彼女にとってどこか憎めないムーシューとの出会いが彼女を勇気づけます。二人の出会いのシーンは次の通りです。
ムーラン:It’s going to take a miracle to get me into the army.
私が軍隊に入るなんて奇跡でも起きないと無理よ。
It’s going to take a miracle to +動詞で「奇跡でも起きないと~できないだろう」という表現になります。
ムーシュー:Did I hear someone ask for a miracle? Let me hear you say “aaah”!
誰だあ、奇跡を望んでるのは? じゃあ、「ああ」って言ってみろ
ムーラン:Aaah!
あぁー
ムーシュー:That’s close enough.
うん、まあまあだな。
closeはこの場合、「(要求に対して)近い」、「いい線行ってる」といった意味で使われています。
ムーラン:A ghost.
お、お化け
ムーシュー:Get ready, Mulan. Your serpentine salvation is at hand! For I have been sent by your ancestors to guide you through your masquerade.
ムーラン、準備をしろ。蛇の守り神が君の元に来たんだぞ。君の先祖がオレを送り込んだんだ、君の変装を指導するためにね。
at handは「手元に」、「近くに」という意味です。
ムーシュー:(コオロギのクリキーに向かって)If you’re gonna stay, you’re gonna work.
もしそこにいるんだったらちゃんと働けよ。
ムーシュー:So heed my word! ‘Cause if the army finds out you’re a girl, the penalty is death!
いいかオレの言葉を心に留めておくんだぞ。もし軍が君が女だって気づいたら、そのときの罰は死刑だぞ。
to heedは「心に留める」、「注意する」という動詞です。
ムーラン:Who are you?
あなたは誰なの。
ムーシュー:Who am I? Who am I? I am the guardian of lost souls. I am the powerful, the pleasurable, the indestructible Mushu. Oh. Ha, ha. Pretty hot, huh?
オレが誰だって? オレが誰かって? オレは失われた魂の守護者さ。オレは強くて、愉快で、不滅のムーシューさ。へへへ、熱いだろ?
ムーラン:Uh, my ancestors sent a little lizard to help me?
私の先祖が私を救うためにトカゲを送り込んできたの?
ムーシュー:Hey, dragon, dragon, not lizard. I don’t do that tongue thing.
こら、ドラゴンだよ、ドラゴン。トカゲじゃないよ。オレは舌をチョロチョロしたりしないから。
ムーラン:You’re, um…
あなたって、、、、
ムーシュー:Intimidating? Awe-inspiring?
怖い? 畏れ多い?
intimidatingは「恐れを抱くような」、「威嚇的な」、awe-inspiringは「畏怖を抱かさえるような」といった意味があります。
ムーラン: Tiny.
ちっちゃいわ。
ムーシュー: Of course.I’m travel-size for your convenience. If I was my real size, your cow here would die of fright.
もちろんさ。オレは便利なように旅行サイズなんだよ。もし標準サイズだったら、君の牛なんて怖くて死んでるところだよ。
*馬を指してわざと牛「cow」と呼んでいます。
If I was ~ 主語+ would+動詞で「もし私が~だったら、~になっているところだ」といった非現実的な条件法の文になります。この場合は、「もしオレがもっと本当のドラゴンのサイズだったら、お前の牛なんてびびって死んでいるところだよ」となります。
ムーシュー:Down, Bessie. My powers are beyond your mortal imagination. For instance, my eyes can see straight through your armor.
下がれよ、ベッシー。オレのパワーは君の想像力を超えてるんだ。たとえばオレの目は直接君の鎧の中が見えるんだぞ。
*馬をあしらうように「ベッシー」と女性の名前で呼んでいるんがポイントです。
For instanceは「For example」と同等の「たとえば」、「例を挙げるなら」といった表現です。
(ムーランに顔を叩かれて)ムーシュー:Oooh! All right, that’s it! Dishonor! Dishonor on your whole family. Make a note of this. Dishonor on you, dishonor on your cow, dis…
おおおい。いいか、そこまでだ。侮辱だぞ。家族全体に対する侮辱だよ。このことはちゃんと覚えておくんだ。君に対する侮辱だし、君の牛に対する侮辱だし、侮辱、、、
dishonorは「不名誉」、「侮辱」などを表す名詞です。to make a note of~で「~を書き留める」、「~をメモる」という意味になります。
ムーラン:Stop. I’m sorry. I’m sorry. I’m just nervous. I’ve never done this before.
わかったから、ごめん、ごめんなさい。ナーバスになってるだけよ。(軍隊は)初めてのことだから
I’ve never done this beforeは「いまだかつてこんなことをしたことがない」、「初めてこんなことをする」といった決まり文句です。
ムーシュー:Then you’re gonna have to trust me. And don’t slap me no more.We clear on that?
だったらオレのことを信頼するんだ。それにもう二度とオレを叩くなよ。わかったか?
We clear on that?は「Are we clear on that?」の省略した形で、「そのことは明確ですか」、「はっきりしましたか」といった疑問文です。
ムーラン:All right.
わかったわよ。
ムーシュー: Let’s get this show on the road! Cri-Kee, get the bags.Let’s move it, heifer.
だったらショーを始めようぜ。クリキー(コオロギ)、虫を捕まえろ。行くぞ。イーハー。
アメリカ映画が中国やアジアの国を描くときに必ず使う英単語が「dishonor」と「ancestor」です。これはアジア圏の国々の恥の文化と先祖を大切に思う気持ちを強調するために度々使われるセリフですので、ぜひ頭に入れておきましょう。