黒人のピアニストとイタリア系アメリカ人の友情を描いたロードムービー「グリーンブック」。本作に登場する数々の英語の名言、名セリフをここで紹介します。
1、You never win with violence. You only win when you maintain your dignity.
「人は決して暴力では勝てない。威厳を保ったときだけ勝てるんだ」
ドン・シャーリーがすぐに喧嘩をしてしまうトニー・リップに言ったセリフです。
to win with~で「~を使って勝つ」、「~によって勝利する」という意味になります。
to maintain one’s dignityで「威厳を保つ」、「品位を保つ」という表現になります。
2、If I’m not black enough, and if I’m not white enough and if I’m not man enough, then tell me Tony, what am I?
「私が完全な黒人じゃなくて、完全な白人でもなくて、完全な男でもなかったら一体私は何者なんだ?」
ドン・シャーリーがトニー・リップに泣きながら言った名言です。アイデンティティに苦しむ彼の心境をうまく表現したセリフです。
not +形容詞+enoughは直訳すると「十分~ではない」という意味になり、不足感を強調します。
3、The world’s full of lonely people afraid to make the first move.
「世界は最初の一歩を踏み出すのを恐れる孤独な人々で溢れている」
トニー・リップが疎遠になった兄弟に会おうとしないドン・シャーリーに言ったセリフです。
to be full fo~で「~であふれている」、「~で一杯だ」という表現になります。
4、OK, here is the deal. I got no problem being on a road with you. But I ain’t no butler.
「OK、いいか。あんたと旅をするのは何も問題ない。だけど俺は執事じゃねえ」
トニー・リップが、靴磨きなど身の回りの世話をするように言ったドン・シャーリーに対して返した言葉です。
Here is the dealは「これが取り決めだ」、「これが条件だ」など取引をしているときに使われるフレーズです。
butlerは「執事」を意味します。
5、Anyone can sound like Beethoven or Joe Pan or them other guys you said. But your music, only you can do that.
「誰だってベートベンやジョーパン(ショパンの間違え)やみんなが言うような他のピアニストのように演奏することはできるけど、あんたの音楽はあんたにしかできない」
トニー・リップがドン・シャーリーのピアノを褒めたたえたセリフです。
sound like Beethovenは直訳すると「ベートベンのように聞こえる」となりますが、同じようにピアノを弾ける、というニュアンスが含まれています。
6、Just because other Negros enjoy certain types of music, it doesn’t mean I have to. Nor do we all have to eat the same kind food.
「他の黒人があるタイプの音楽を好きだからって私まで好きじゃなきゃおかしいってことはないし、黒人みんなが同じ種類の食べ物を食べなきゃいけないわけでもない」
黒人に対して強い偏見を持つトニー・リップに対して、ドン・シャーリーが言ったセリフです。
just because ~で「~だからといって~だ」という表現になります。
7、Promise me you’re going to write me a letter.
「私に手紙を書くって約束して!」
妻のドローレスがトニー・リップに言ったセリフです。
Promise me you+未来形~で「~することを私に約束して」という文になります。
8、Do you foresee any issues in working for a black man?
「黒人男性のために働くことに何か問題はありますか?」
ドン・シャリーがトニー・リップに仕事の面接で聞いた質問です。
to foreseeは直訳すると「予見する」、「予知する」という意味ですが、ここでは「問題が起こりそうですか」、「問題があると思いますか?」といったニュアンスで使われています。
9、Hey, when I was in the army I knew a guy from Pittsburgh, except he called it Tits-burgh. He said all the women there have huge tits.
「軍隊にちあときピッツバーグ出身の男がいたんだけど、彼はピッツバーグのことをティッツ(おっぱい)バーグと呼んでたんだよ。向こうの女は全員胸がでかいんだってさ」
Pittsburghのpittsとtitsをかけたトニー・リップがドン・シャーリーに言ったジョークです。
10、 If they got a problem with Vallelonga, they can call me Tony Lip.
「ヴァレロンガが言いにくかったら、トニー・リップって呼んでくれればいいよ」
トニー・リップがドン・シャーリーから苗字が発音しにくいと言われたときのアンサーです。自分のニックネームにどれだけ彼が愛着を抱いているかが分かるシーンでした。
If they got a problem with~で「もし彼らが~に問題があるのなら~だ」という表現になります。
11、I saw Dr. Shirley play the piano tonight. He don’t play like a colored guy. He plays like Liberace, but better. He’s like a genius I think.
「ドン・シャーリーがピアノを演奏したのを今夜見たんだけど、彼は有色人種のような弾き方をしない。まるでリベラーチェのように弾くんだ。むしろそれ以上だ。彼はまるで天才だよ」
トニ・リップが妻に書いた手紙の一文です。素直に才能に驚いた様子を伝えています。
学のないトニー・リップの英語は文法的に間違いが多く、He doesn’t というところをHe don’tといったりするのがポイントです。
12、It’s not Tony the Lip. It’s Tony Lip. One word. I got it when I was a kid because my friends said I was the best bullshit artist in the Bronx.
「トニー・ザ・リップじゃないよ。トニー・リップだよ。一つのワードさ。そのニックネームを授かったのは子供のとき、俺こそブロンクスで最高のほら吹きだって友達が言ったときだよ」
bullshit artistは「うそをつくのがうまい人」、「ほら吹き」などを意味します。
13、 I think this is the best Kentucky Fried Chicken I ever had. But I guess it’s fresher down here, right?
「これが今までで一番おいしいケンタッキー・フライド・チキンだと思う。多分ここだと普通より新鮮なんだろうね。そうじゃない?」
ケンタッキーでケンタッキー・フライド・チキンを食べたときのトニー・リップのセリフです。
fresherは「より新鮮」を意味する比較級です。
14、You know, My father used to say, “Whatever you do, do it a hundred percent. When you work, work. When you laugh, laugh. When you eat, eat like it’s your last meal.”
「親父がよく言ってたんだ。『なにをやろうと100%やれ。働くときは働いて、笑うときは笑って、食べるときはそれが最後の食事だと思って食べろ』ってね」
トニー・リップがフライド・チキンを食べながら言ったセリフです。
used to say~で「~とよく言っていた」という過去の習慣を意味します。
15、You asked once why Dr. Shirley does this? I tell you. Because genius is not enough. It takes courage to change people’s hearts.
「君は一度なぜドン・シャリーがこれをやる(差別の強い南部でツアーをやる)のかって聞いたけど、それに答えるよ。天才だけでは十分じゃないんだ。人々のハートを変えるには勇気がいるんだ。」
バンドのメンバーであるオレッグがトニー・リップに言ったセリフです。
ここでも「天才だけでは十分ではない」というnot enoughの表現が使われています。
It takes courage to+動詞で「~するには勇気がいる」というフレーズになります。