「アメリカン・スナイパー」は実在した伝説的ネイビーシールズの隊員クリス・カイルの人生を基にした戦争映画で、アカデミー賞にもノミネートされた作品です。
アメリカン・スナイパーの名場面
まず、いかにしてクリス・カイルが軍隊に入隊し、伝説のスナイパーにまでのし上がったのか。それには彼の生い立ちが関係しています。食事中父親のウェイン・カイルが二人の息子たちに男はどうあるべきかを教えます。そのシーンがこちら。
ウェイン・カイル:There are three types of people in this world: sheep, wolves, and sheepdogs.
この世の中には3つのタイプの人間がいる。羊、狼、牧羊犬だ.
There+be~で「~がある(いる)」といった文章になります。
ウェイン・カイル:Some people prefer to believe that evil doesn’t exist in the world, and if it ever darkened their doorstep, they wouldn’t know how to protect themselves. Those are the sheep.
世の中に悪人なんていないと信じたがる人もいて、もし悪人が玄関の先までやってきたら、彼らはどうやって自分たちのことを守っていいのか分からない。そういう人間が羊だ。
to prefer to +動詞、あるいはto prefer +動詞進行形で、「むしろ~する方を好む」という意味になります。to darken someone’s doorstepは「誰かの家の敷居を跨ぐ」などと訳されることがあり、「望まれない訪問者が来る」、「敵が現れる」といったニュアンスが含まれています。
ウェイン・カイル:Then you’ve got predators, who use violence to prey on the weak. They’re the wolves.
それに弱者を捕獲するために暴力を振るう捕食者というのがいる。そういう人間が狼だ。
to prey on~で「~を餌にする」、「~を捕食する」といった意味になります。
ウェイン・カイル:And then there are those blessed with the gift of aggression, an overpowering need to protect the flock. These men are the rare breed who live to confront the wolf. They are the sheepdog. We do not raise sheep
in this family.
そして生まれつき攻撃の才能に恵まれていて、群れを守るものすごい強い必要性に駆られる人もいる。彼らはとても稀なタイプで、狼と戦うために生きるんだ。彼らが牧羊犬だ。この家族では羊は育てないからな。
blessed with the gift of~で、「~の才能に恵まれている」といったフレーズになります。breed は「ブリード」、「品種」、「タイプ」などを指しています。
正義感が強いと同時にとても軍隊的な思想を持つ父親の下で育てられたことが分かるワンシーンでした。
続いて戦場からアメリカに帰国し、強いストレスを受けて精神を病んでいたクリス・カイルは軍の医者にかかります。以下はそのときのシーンです。
ドクター: Do you ever think that… you might have seen things or… done some things over there that you wish you hadn’t?
もしかしたら何かが(幻覚が)見えたり、あるいは向こう(イラク)でやるんじゃなかったと思うようなことってあるかい?
クリス・カイル: Oh, that’s not me. No.
いえ、自分はそういうんじゃないので。ないです。
ドクター: What’s not you?
そういうのではないとは?
クリス・カイル: I was just protecting my guys, and I… I’m willing to meet my Creator and answer for every shot that I took.
(戦場では)仲間を守っていただけだし、自分が撃ったことについては、神様に会って全部説明したいぐらいです。
to be willing to +動詞で「~する意思がある」、「~する気がある」、「~する気乗りする」といった表現になります。Creatorはこの場合「創造者」つまり「神」を指しています。
クリス・カイル:The thing that… haunts me are all the guys that I couldn’t save.
うなされるとしたら自分が救えなかった仲間たち全員のことを考えるときです。
to hauntは「幽霊が出る」という意味のほかに、つらい記憶や体験に「悩まされる」、あるいはそういったトラウマが「頭につきまとう」といったニュアンスがあります。
クリス・カイル: Now I’m willing and able to… be there but I’m not, I’m here, I quit.
今も向こう(イラク)にいられたらと思っているし、でもいられない。自分はここにいる、除隊したんですから。
ドクター: You can walk down any hall in this hospital. Looks like plenty soldiers need saving. You want to take a walk?
この病院のどの廊下を歩いてもいいんだよ。救ってもらいたがっている兵士なら山ほどいそうだけど。少し歩こうか?
to take a walkで「散歩する」といった意味になります。
クリス・カイル:Sure.
そうですね。
除隊後もクリス・カイルがどれだけ自分の仲間のことを考えて苦しんでいたかが分かるシーンでした。