「ディス/コネクト」は現代のネット上で起こるトラブルなどを取り上げた群像劇です。次々と犯罪に巻き込まれる人々をリアルな会話と共に描いているのが特徴で、セリフを追っていくだけでも十分に楽しめる作品です。
ディス/コネクトの名場面
警察に追われていることを知った犯罪グループはカイルを連れて車で逃走を始めます。カイルの安否を心配したTVレポーターのニーナは自らカイルを救出しようと、カイルの居場所を突き止めます。
ニーナは犯罪グループにばれないようにカイルを連れて行こうとしますが、身寄りのいないカイルにはたとえ逃げたとしても行くあてがなく、乗り気になれません。早く逃げなければ逃走を図ろうとしていることがほかのメンバーにバレてしまう。そんな緊張の中の二人の会話がこれです。
カイル:Are the cops here?
警察と来たの? (警察はここにいるの?)
ニーナ:No! I’m alone. I came to get you.
違うわ。私独りよ。あなたを助けにきたの。
I came to +動詞で「私は~しに来た」という表現になります。
カイル:You shouldn’t be here right now.
こんなときにここにいないほうがいいよ。
ニーナ:I don’t blame you for not believing me, but I promise you, Kyle, I promise I came alone. Please, just get in the car.
I can make this right.
私のことを信じてくれなくてもあなたを責めたりはしないわ。でもこれだけは約束する、カイル。本当に独りで来たのよ。お願いだから車に乗って。私が解決するから。
to blame for+動詞進行形で「~することに対して責める」という意味になり、否定形では「~しないことに対して責める」となります。to make something rightは「~を正しくする」といった表現です。
カイル:If I go inside and I fucking get all my shit and I pack it all up, I need to know that I can stay with you.
ホテルに入って、自分の荷物を取って、荷造りをしたら、君といられるんだね。
ニーナ:Let’s get your stuff and we’ll talk…
いいから荷物を取ってきて、あとで話しましょう。
stuffはこの場合「物」という意味で使われています。
カイル:No, it’s a yes or no. It’s a simple question, can I stay with you?
だめだよ。イエスかノーかだ。簡単な質問だよ。君といてもいいんだね。
ニーナ:I don’t know! Why do we need…
分からないわ。それはあとで、、、、
カイル:What do you mean, you don’t know?
どういうこと、分からないって。
What do you mean ~で「~ってどういうこと?」、「~ってどういう意味」という疑問文になります。
ニーナ: I’m not sure. Because…
はっきり言えないわ、だって、、、、
to be sureで「確かである」、「確信している」という意味になります。
カイル:What?
なんなの?
ニーナ:Because you’re so much younger than me and I don’t know whether it’s a good idea. Why can’t we just go and we can talk about it on the way? Kyle, please.
だって、あなたは私よりもずっと若いから、一緒にいるのがいいことなのか分からないの。とにかく行きましょう、それは後で道中で話しましょうよ。カイル、お願いだから。
I don’t know whether ~で「~かどうか分からない」といった言い回しになります。
カイル: If I wasn’t? If I wasn’t younger? Then, would you want me there? Forget this.
もし僕が若くなかったら? そのときは君と一緒にいられるわけ? もういいよ。
If I wasn’tで非現実的な条件法の文になり、この場合は「(実際は若いけど)もし私が若くなかったら?」という意味になります。
ニーナ: Forget what? Kyle! Kyle!
なにがいいのよ。カイル、カイルってば。
助けに来たといって、カイルを引き取ることは気が引ける、という難しい状況の中で、ニーナが迷いを見せてしまい、カイルの信頼を得られなかった絶妙のシーンでした。相手を心配しつつ、実は本格的なつながりは避けているという、この映画の題名にもなっている「ディスコネクト (遮断)」を上手く表した会話でした。